鞄の豆話し
日本の「カバン」の歴史で、それが「鞄」として製作されるのは、意外にも新しい時代です。
明治の初期に、「外国人が修理に持ち込んだものを模倣して製作された」と言う説や
「1873年に山城屋和助がフランスから鞄を持ち帰り、森田直七が模倣して日本初の鞄を作った」
と言う説なども有ります。何れにせよ、この時代は西洋の物が大量に輸入されていた時代で
鞄に関しても例外では無かったのでしょう。「鞄」と呼ばれる物が製作される様になったのは
明治維新後の「文明開化」の時代だったのです。そして、アレンジする能力に秀でた日本人は
鞄も日本人の仕様に合わせ様々な改良を加えました。「肩掛け胴乱」や「手提げ胴乱」など
といった日本独自の鞄も登場し、1887年には日本初の「かばん屋」が東京で開店しました。
まだまだ庶民には手の届かない「鞄」でしたが、「革」+「包」=「鞄」の歴史が始まった
と言えるでしょう。しかし「鞄」と言う呼称は無くとも、日本における鞄の歴史は、大名行列
に見られた「大胴乱」・武士が鎧を入れた「鎧櫃(よろいびつ)」・医者が用いた「薬篭(やくろう)」
・庶民が旅路に用いた「柳ごおり」など、既にその歴史は存在していたとも言えます。
箱物である鞄は今で言うトランクに分類され、普段は持ち運びしない荷物を持ち運ぶ時の為に
発達したものです。現代のように旅行や仕事で頻繁に遠方へ移動しない時代には、そんな頑丈
な鞄が登場する機会もなかったのでしょう。それとは別に、常に身近に置きたい道具、貴重品
などを入れて持ち歩くと言う需要はそんな時代にも存在しました。鎌倉・室町時代には女性が
小袋に財産を入れて管理していたそうです。これは箱物とは違う、袋物としての鞄です。
日本に於けるハンドバッグやポーチなどの起源と言えるのではないでしょうか。
因みに、女性が「おふくろさま」と呼ばれる語源も、この袋に財産を入れて管理していた事に
由来すると言われています。(諸説ありますが…)
袋も鞄とすれば、その歴史は遥か以前に遡ることが出来ます。古事記にも「大国主命が袋を背
負う」という記述があります。海外では、紀元前の古代文明の壁画に袋が描かれています。
陶器の壷や瓶と言う入れ物が存在した時代でも、袋の鞄は物を持ち運ぶのに重宝したようです。
このようにカバンは、私たちの暮らしと深く結びつきながら、長い歴史を刻んできました。
そして現在、そのカバンは荷物を運ぶ為の入れ物としてだけでなく、ファッションと言う文化
を象徴するアイテムとして益々存在感を大きくしています。貴方が自己主張をする為の一つの
道具ともなります。貴方のセンスで皆の視線を釘付けにする… そんな一品を是非とも当店で
見つけて下さい。